ボードゲームの巧い人

ボードゲームという趣味を始めて、もう10年以上になるのですが、目標としているプレイヤー像というものがあります。
それは「また一緒にプレイしたい!」と言って貰えるようなプレイヤーになることです。
しかしまあ、心がけどおりにいけばいいのですが、中々そういうわけにもいかず、日々精進あるのみなのです。

で、長らく同じ趣味をやっていると、少しずつですが見えてくるものがあります。
まあよく言われるプレイヤー像のお話なのですがね。

おおよそ殆どのプレイヤーは、二つのスタンスの強弱で分類されるようです。
1つはパーティ性を重視するプレイヤー。もう1つは競技性を重視するプレイヤーです。

パーティ性を重視するプレイヤーのほとんどは、ゲームのプレイやその雰囲気を重視するプレイヤーです。
だいたい海外ボードゲームをやり始めたプレイヤーに多い傾向があり、最初に海外のボードゲームに触れた感動や体験を大事にし、時には勝敗を超えたところで楽しもうとする傾向が多いようです。
その為、一緒にワイワイと賑やかに楽しもうとすると気軽にゲームを楽しめます。反面、勝敗を競い合うことには余り向きません。

競技性を重視するプレイヤーの殆どは、戦略、戦術、何よりも持論を実践し勝利を獲得することを重視するプレイヤーです。
これはどちらかといえば、ゲーマーと呼ばれるボードゲームを数百タイトルプレイしてきたマニアに多い傾向です。
彼らは、従来のボードゲームの刺激では満足せず、より複雑で思考力を競うゲームを好みます。
その為、一緒に勝負を競うと、日常では味わえないような刺激的なかけひきを楽しむ事が出来ます。
但し、彼らの最大の関心事は自分の勝利ですので、一緒に楽しめるかというのは、人によります。

どちらが良いとか悪いとかは特にありませんが、どちらも度が過ぎると問題になることは多いですね。
例えばパーティ性を重視しすぎる人は、面白ければ何でもokとなることも多く、ボードゲームが求めている遊び方を逸脱すると、せっかくの楽しい雰囲気も台無しです。
またそのゲームの製作者の人もそういうプレイを聞くと、とても残念な気持ちになることでしょう。

また競技性を重視しすぎる人は、自分一人でゲームをやっているように勘違いする人も多く、勝敗に必要以上に拘ります。
中には、自分の勝率はいくつなど自慢することもあり、周りが引くようなケースもあります。
ボードゲームは、勝敗が決まるようにできていますが、ボードゲームは人の優劣を決めるものではないです。
なので、周りの人が相手してくれてる間に気が付かないと、一緒にプレイしてくれる人がいなくなるかもしれないので、注意です。

いずれにせよ、自分だけで遊んでいると勘違いしている人は、問題になる場合があるってことですかね。

とまあ、今まではこういう風に考えていたのですが、最近個人的に「ボードゲームが巧い人だなあ」と思う人が出てきました。
私がどうして「巧い」と思うんだろうと色々と共通点を探していたのですが、ようやく分かりつつあります。
ちなみに当然ですが、上のどちらのスタンスもっているのですが、それとは別のボードゲームの遊び方をしているようなのです。

先ほどの2つの例は、プレイヤーの基本的なスタンスのお話になります。
それぞれのスタンスでは、それぞれ自分のスタイルでボードゲームをプレイしているため、基本的に同じ卓に揃うと、どちらからか不満がもれる事もあります。
しかし、不思議とどちらのスタンスのプレイヤーとも、同じように接して、ほとんどというか、同卓したプレイヤーから不満を聞いたことがないプレイヤーがいます。

で、ここで出てくるのが3つ目のスタンス、ゲーム性を重視するプレイヤーです。

彼らに共通する特徴は「ゲームの提示している遊び方を重視する」ということです。
その為、パーティゲームだとみんなと一緒に賑やかに楽しく、競技性の高いゲームだと手加減無用で思考戦を繰り広げます。
恐らく、ゲームデザイナーが望んだ遊び方を最大限に引き出して遊ぶスタンスだと思います。
だからと言って、発展性が無いわけでなく、彼らはルールやシステムを熟知し、他の誰もが気が付かないような、戦略や戦術にいち早く気が付くことが往々にしてあります。
ゲーム性を重視するプレイヤーと一緒にプレイすると、一緒に楽しく勝敗を競うことが出来ます。
何故なら彼らはそのゲームの遊び方やそのゲームの楽しいところを最大限に引き出す事を知っているからなのです。

複雑で戦略性の高いゲームであろうと、ランダム要素の高いゲームであろうと、アクションを求められるゲームであろうと、ゲームの狙いに沿った楽しさを見い出し、それを十分に楽しもうとします。
なので彼らと一緒にプレイすると楽しいのです。

私自身については、正直まだまだ精進が足りません。
ゲーム性を重視するプレイヤーと私が勝手に思っている彼らは、共通して周りの人から一緒に遊びたいプレイヤーとして名が挙がることが多いです。
なので、今のところ私の目標は彼らなのかなぁ?とか勝手に思っている次第なのです。

「ゲームの強い人」なんてものはいくらでもいるのですが、「ゲームの巧い人」というのは中々いません。
できるなら「ボードゲームの巧い人」と呼ばれるようになりたいものです。